跳慮跋考

興味も思考も行先不明

大脳新皮質

大脳新皮質前頭葉頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けられ、左右で独立している。左右の脳は脳梁などの一部でのみ接続しているが、驚くべき事にこれを全て切断しても(分離脳)日常生活にほぼ支障がない。
感覚情報は次の様に各脳葉へ入力する。

(一般に腹側・背側、吻側・尾側といった表現が使われるが、ここではカジュアルに直立時の位置関係で表現する。)

視覚

視覚情報は後頭葉の V1(一次視覚野)から側頭葉の下部へ向かう腹側視覚経路と、頭頂葉へ向かう背側視覚経路に分かれる。
腹側視覚経路(What 経路とも呼ばれる)の末端に当たる側頭葉では円から星型に至る形状、縞模様などのテクスチャ、また特定の人間の顔にまで及ぶ種々の刺激を検出するニューロン神経細胞)群が存在する。こうした高度な特徴抽出は DNN の画像分類でも自然と発生するという。
背側視覚経路(Where 経路とも呼ばれる)は頭頂葉前部からの身体感覚の情報とも統合され、頭頂葉で何らかの時空間モデルに基づく表現へと変換される。

言語

側頭葉付近には言語中枢が集まっている。
側頭葉の頭頂葉と接する辺りはウェルニッケ野と呼ばれ、言語理解を担っているとされる。
一方で前頭葉の側頭葉と接する辺りにはブローカ野が存在し、発話を担っている。1861 年にポール・ブローカが報告した、「タン、タン」としか話せない患者がこの部位を損傷していた事から名付けられた。
ただ最近はブローカ野が生成文法で言う併合(動詞に主語を与えて節を作る様に、構文木を構築する操作)を行うなど、それほど役割が単純ではない事が指摘されている。

運動

前頭葉頭頂葉の接する部分では、そのどちらにも身体がマッピングされており、頭頂葉が身体感覚の入力を受ける一方で前頭葉は身体運動の命令を行う。前頭葉の前部ではより高度な運動の計画や、身体運動だけではないより長期の行動・出来事を想像して判断を下す機能がある。
大抵の認知課題における前頭葉の活性化は思考(イメージ操作)が身体運動に根差しており、概念操作は物理的操作と通底するというピアジェ的な発達観を支持している様に思われる。