跳慮跋考

興味も思考も行先不明

『テヅカ・イズ・デッド』の解釈メモ

伊藤剛テヅカ・イズ・デッド』(NTT出版、2005)はよく参照される割にその解釈が一致を見ていない様だ。ここで伊藤剛の「キャラ/キャラクター」についての考えを纏める事で、個人的に決着を附けておきたいと思う。ただ『テヅカ・イズ・デッド』以降の議論を十分調べたとはとても言えないので、「メモ」とはそういう釈明の含みがある。

以下の参照は新書版(星海社、2014)による。

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暁美ほむらの叛逆について

先の記事で触れた暁美ほむらの叛逆の動機について論じたい。*1
暁美ほむらは何故「叛逆」に至ったのか? それを紐解く為には『叛逆の物語』以前、『まどか』本編での彼女の心理的な足跡を辿る事から始めなければならない。

*1:他にも自分の以前の記事が悉く感情的過ぎて恥ずかしいだとか、pixiv大百科があまりにも適当だとか、色々な理由で前から書きたかった。

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正義と善:マギアレコード第1部に寄せて

マギアレコード第1部において、環いろはは決して正義を語らなかった。

彼女は「べき」を語らない。「間違っている」という言葉に、「何者かを傷付ける」以上の意味を込める事は決してない。それは物語上の敵に当たるマギウスに対しても変わらない。

それはね、それは、それはだめだよ…
(メインストーリー第7章17話)

犠牲とされる人々の痛みに、また罪を背負う相手の痛みに共感し、苦悶の表情を浮かべながら、この様に語り掛ける。

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えんどろ~!第5話、それは日常系だからこそ

今期のアニメ作品『えんどろ~!』は元々「かわいい」「メイのキャラアピールがもうちょっとテンプレ的じゃないと嬉しい」くらいの低解像度で観ていたのだが、第5話の台詞をきっかけに大きく視聴態度を正される事になったので、ここで(やや今更ながら)その話をしたい。

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世界改変直後の暁美ほむらの心情について

マギアレコードにまどか本編における暁美ほむら(クーほむ)が実装された。

190121.magireco.com

イベントストーリー及び彼女の魔法少女ストーリーは基本的にまどか☆マギカ本編の内容を暁美ほむらの視点で時系列順に整理したものだが、第12話の別れから世界改変の間の出来事として新たな場面が描かれている。
即ち、神浜(マギアレコードの舞台となる都市)において他の魔法少女と連携しつつ鹿目まどかを救う手立てを探る自らの様子を垣間見ながらも、まどかを信じているから、あり得たかもしれない可能性(マギレコ世界線の存在から示唆されたもの)を夢見たりしないと断じるのである。

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改変中に既に肚を括っている(マギレコ 暁美ほむら魔法少女ストーリー 3話より引用)

その結果、改変直後の「まどか……」という台詞はまどかの願いを受け入れていつかの再会まで戦い続ける、言わば殉教者としての決意の滲むものとなっている。

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問題の場面(BD 6 42:23 より引用)

個人的にこれが本編を観た時の私の解釈と異なって興味深かったので、まどか☆マギカのTV本編及び叛逆と照らし合わせて改変直後の暁美ほむらの心情、そして特に「まどか……」という台詞に込められた想いについて検討してみたい。

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