跳慮跋考

興味も思考も行先不明

本物と、本物と見分けのつかない偽物

例えば、自由意志。 君の今感じている自由*1が、もしも脳内の神経生理学的・物理的過程の産物か、世界シミュレータにより計算されたものか、将又「神」か何かにより感じさせられているものだったとしたら、なんて話は信じたくもない事だろうか? 私としては…

『her 世界でひとつの彼女』に私は何を思ったか

序 これは Spike Jonze 監督の映画『her 世界でひとつの彼女』の感想、と言うか観て AI に関連するあれやこれやの考えを書き連ねたものと言うか。どうせ読み手も居ないだろうと好き勝手した結果、誰に向けたのやら謎過ぎる文になってしまった。 私が AI 関連…

θリズムと時系列の符号化

先日『理工学系からの脳科学入門』(東京大学出版会、2008)を読んでいたところ、第 4 章(山口陽子氏による)に於いて「海馬のシータリズム位相コード仮説」なる興味深い話が出て来たのだが如何せん記述が解り難く、結局その筋のレビュー論文を参照する羽目…

Firefox OS for Raspberry Pi

スマートフォンなる多機能携帯電話の囹圄も及ばぬ不自由さに嫌気が差した昨今、戯れに持ちたる Rapberry Pi をスマフォと PC の中間みたいなものに仕立て上げられないかと思い立っては種々様々に画策し、FirefoxOS を動かせるらしいと聞いては b2g-17.0a1.li…

LyX でアレがやりたい集

「TeX を捨てよ、LyX で書こう - 跳慮跋考」の補遺。順次更新、リクエスト募集。 モジュールの追加は 文書(D)→設定(S)...→モジュール で行う。 定理環境とかの中に箇条書きを入れたい 「定理」モジュールを使って普通に 定理 1. 1. 2. ←ここへ続きを書こうと…

TeX を捨てよ、LyX で書こう

「本物の物書きは TeX を使う」とは二十世紀末の著名な格言ですが(要出典)、実際問題これが中々に面倒な訳です。 TeX は随分と原始的なので、見た侭を編集できない。 少し書いてはコンパイル、どこの $ が閉じてないんだか分からない。 まぁ凡そ人間が直接…

縦続行列による声道の音響特性の計算

以前の記事に書いた Ishizaka & Flanagan のモデルでは声道を輪切りにして声帯と一緒くたに微分方程式を解いていた訳ですが、これだとかなり巨大な方程式を解く事になって計算コストが馬鹿にならない、もっと言えばリアルタイムで音声合成をやろうとした場合…

まどか☆マギカ新編感想、或いは暁美ほむらと私

(この文章は『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』の感想でありネタバレを含みます。あと色々なものに酔って書いてるのでかなり読みにくいかも知れません) 私は暁美ほむらが好きだ。 何故と言われても困るが、あの第十話を観てからというも…

Reading "Topographic Independent Component Analysis"

感覚信号の効率的な(即ちスパースな)符号化に関して「視覚野・聴覚野地図の同一適応アルゴリズムによる解釈」に興味を持ったので、論文で使用されているトポグラフィック独立成分分析(TICA)の論文「Topographic Independent Component Analysis」を読もうと…

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第四話より、人は微妙に組成が違うレンズの音を聴き分けられるか

レンズの固有振動数ってどんなもんかな? ってお話。 データも根拠も怪しいものですが、参考程度に。基本振動だけ分かればいいので、レンズは円筒が連なって円柱を成しているものと看做します。 すると円筒のずれに対する復元力を求めるには、ガラスの剛性率…

声帯の数値シミュレーションによる音声生成

初音ミク嬢を筆頭として音声サンプルの編集による音声合成は随分栄華を誇っていますが、力学モデルのシミュレーションによる音声合成はどうも人気が無い様ですね。私が世情に疎いだけかも知れませんけれど。 実用程度*1ならそうした経験的帰納的な手法も使え…

Cross compiling a program with PortAudio for Windows by MinGW on Linux

最近は VirtualBox 上の ubuntu で開発することで Windows の呪縛から解き放たれていたんですが(まあ Windows がホストOSではありますけど)、どうもマイク入力が VirtualBox ではサポートされていない様子。USB マイクなら大丈夫とか聞くんですが。 開発環境…

共感能力に欠く人間の弁明

〈この物語は事実を基にしたフィクションです。〉 的な注意書きを見かける事がある。『月光の夏』だとか『電車男』だとか。 というのは恐らく、ノンフィクションと銘打ちながら脚色があったりすると「騙された!」だのと騒ぐ人が居るからなのだろうけれど、…

杞人多重世界を憂うや否や

偶には自分の妄言でも話しましょう。極微の世界を扱う物理学として今日量子力学が確立されている訳ですが、量子力学ではその根幹に於いて当代あらゆる物理学者を悩ませる不可思議な言明を含んでいるのであります。 即ち、電子等々の粒子が微小世界で織り成す…

様相論理の可能世界意味論のイメージ

調べた内容の私的な解釈を書いた感じなので用心されたい。命題について、述語論理が「どんな対象について成り立つか」を扱う様に、様相論理は「どの程度成り立つか」を扱う。様相論理は世界(解釈とその上で成り立つ論理式の集まり)自体を記述し、命題に対…

電王戦のコンピュータ将棋のスペック及び「人間の敗北」だと?

第2回将棋 電王戦というのがありまして、プロ棋士とコンピュータ将棋がガチバトルした訳です。それでコンピュータ側は3勝1敗1分の大殊勲だったと。 人間側完敗などと悲観的? に受け取る向きもある様ですが*1、私としては「よくもまぁコンピュータのゴリ押し…

二重階乗の一般化

その昔、Eulerは階乗の一般化として積分を見出し、後にGaußがと書き直した訳ですが、では二重階乗なんかはどうなるのという話。 因みに現代ではというややこしい定義のガンマ函数が罷り通っていますが、ここでは使いません。その方が綺麗なので。さて取り敢…

F#の無限シーケンスで素数列

Haskellでよくある primes = [2, 3] ++ filter (\n -> all (\p -> mod n p /= 0) $ takeWhile (\p -> p*p <= n) primes) [5, 7 ..] 的なやつを。 let infty n m = Seq.initInfinite (fun i -> n + i * m) let rec primes = seq { yield! [2; 3] for i in inf…

make10

「8 8 9 9」のmake10を四則演算でやれと言う話なので。分かんないので。 アルゴリズムとしては「切符の番号で10を作る」のと同じです。カッコよく言うと分割統治法。コードはあんま美しくないけど。 import Data.List data Expr = C Int | Add Expr Expr | S…

連分数

みたいなのを連分数と呼ぶ。これだとスペースを取るので とか(低い位置の+は直前の分数の分母にそれ以降を足す感じ)、分子が皆1の時は+の左の数字を並べてとも書く。 値を求めるには、これをと置くと よりとなるから は普通に考えて正なので、の正を取るとこ…

和の比と比の和の不等式

\frac{ \sum_{i=1}^{n} x_i }{ \sum_{i=1}^{n} a_i } \quad (n \ge 2,\, a_i, x_i > 0)"> を数学的帰納法により示す。の時 よって成り立つ。の時に成り立つとすると \frac{ \sum_{i=1}^{k} x_i }{ \sum_{i=1}^{k} a_i } "> ここでと置き換えると \frac{ \sum…

形態素解析器

C#から直截形態素解析器のライブラリを使いたいよぉ…ふぇぇ…って人に。 茶筌はツン過ぎて辛かっただって何ですかstring[]渡すだけなのに。 using System.Runtime.InteropServices; class MeCab : IDisposable { IntPtr ptr; [DllImport("libmecab.dll", Call…